転職理由、面接でどこまで本音で言っていい?――面接官side の答え
「転職理由、本当は人間関係なんですけど……正直に言っていいんですか?」
エージェントとして面談していて、一番多い相談のひとつです。ネットで調べると「本音で話せ」と「ネガティブは隠せ」の両方が出てきて、余計に分からなくなる。分かります。
私は求職者を送り出すエージェントであると同時に、自社では採用面接官として「転職理由を聞く側」にも座っています。その立場からの答えを先に言います。
嘘はつかない。全部も言わない。「翻訳」する。 この3つ目だけが正解です。
なぜ「作り話」がダメなのか——バレ方まで教えます
まず「きれいな転職理由を作ればいい」が通用しない理由から。面接官は嘘発見器を持っているわけではありません。でも、作った理由は深掘りに耐えられないんです。
たとえば「スキルアップのためです」と言った人に、面接官はこう聞きます。「具体的にどんなスキルですか?」「それは今の会社では積めないんですか?」——本音ベースの人はここで自分の言葉が出ます。作った人は、用意した文の外側に出た瞬間、目が泳ぐ。
もっと痛いのは、志望動機との辻褄です。転職理由が作り話だと、「なぜ辞めるか」と「なぜうちか」が繋がらなくなる。面接官側から見ると、この不整合はかなり目立ちます。
なぜ「全部ぶちまける」もダメなのか
じゃあ正直に「上司と合わなくて」「残業がひどくて」と言えばいいかというと、これも損をします。理由は、嘘っぽいからではありません。「不満で動く人」という印象だけが残るからです。
ここで、面接官が転職理由という質問で本当に確認していることをお見せします。
面接官として正直に言うと、不満の内容そのものは、だいたい定番です。人間関係、評価、残業、給与。何百回も聞いています。珍しくないので、そこで減点はしません。
見ているのは未来のほうです。「うちに来ても、同じ不満で辞めないか?」 不満を不満のまま話す人は、この問いに何も答えていない。だから通らないんです。
正解:「翻訳」のやり方
翻訳とは、事実を変えずに、視点を過去から未来に付け替えることです。
- 本音:「上司と合わない。頑張っても評価されない」
- 翻訳:「成果が評価につながる環境で働きたいと考えたのがきっかけです。今の職場で○○という工夫はしてきたのですが、仕組み上むずかしい部分があり、次は△△のような評価の仕方をしている環境を選びたいと思っています」
ポイントは3つあります。
- 事実は変えない。評価に納得できていないのは事実のまま。だから深掘りされても自分の言葉で話せます
- 自分がやったことを1つ入れる。「不満→即転職」ではなく「工夫→限界→転職」の順で話せると、他責の印象が消えます
- 「次はこうしたい」で着地する。ここが志望動機との接続点になります
嘘ではないので、堂々と話せる。全部は言っていないので、印象も守れる。これが「翻訳」です。
正直に言うと:翻訳できない本音もあります
なんでも翻訳できるとは言いません。たとえば「とにかく今の会社が嫌いで、逃げたい」だけが本音で、次にやりたいことが本当に何もない状態。この場合、翻訳しようがないというより、翻訳の前にやることがある状態です。
その状態で面接に行っても、どこかで言葉に詰まります。求人票を眺める前に、「何が嫌だったのか」を一度書き出して、「じゃあ次はどうだったら続けられるのか」まで自分の中で言語化する。遠回りに見えて、これが一番の面接対策です(書き出す枠組みは求人票の見方の記事の考え方も使えます)。
まとめ:面接前にやること
- 本当の転職理由を、誰にも見せないメモに正直に書く(ここは盛らない・繕わない)
- それを「次はこう働きたい」の形に翻訳する
- 翻訳した理由と志望動機が一本の線で繋がるかを確認する
- 声に出して、深掘り質問(「具体的には?」「今の会社では無理なんですか?」)に自分の言葉で答えられるか試す(→一人でできる面接練習のやり方)
翻訳の「型」をもっと具体的に見たい人向けに、NG例→OK例・よくある3パターンの例文・穴埋めシートまで込みのものをnoteに置いています。転職理由のパートは無料で全部読めるようにしてあるので、面接が近い人はどうぞ→面接で通る回答の作り方(note)